巻き石と芝台を作り替えて、同墓地内での移設工事。鳥取市寺院墓地

鳥取県一円にて、お墓や石材のお仕事をさせていただいております、前田石材 代表の前田です。鳥取市内のお寺様墓地にて、コンクリートの枠石や芝台が劣化したお墓を、墓地内で移設する工事をお任せいただきました。

 

鳥取市寺院墓地 墓地内での移設

 

ホームページをご覧になったお客様からお墓のご相談をいただきました。鳥取市内のお寺様の墓地にお墓をお持ちでしたので、まずはお墓の状況を確認させていただきました。

 

こちらがご相談のお墓です。お寺様の境内墓地で、昭和45年建立の和型のお墓です。お客様にお話を伺うと、お墓の土台になっているコンクリートの縁石や、一番下の芝台に風化でひび割れているところがあり、これを修理してほしいというご相談でした。また、修理のことをお寺様に相談されると、この機会に墓地内のもっとお参りしやすいいい場所にお墓を移してはどうかとお話があったそうです。

 

お墓本体の方は、50年以上が経っていますが状態もよく、お手入れしながらきれいにお参りされてきたことが分かるお墓でした。昔地元で採られていた用瀬(もちがせ)石で作られているようでした。今回はこのお墓の下台から上はそのまま、巻き石と芝台のみ墓地に合わせて新しく作成して移設することになりました。また、塔婆を立てるのに支えにされていたお墓の右手前の灯篭も一緒に移設します。

 

まずは、お墓の解体から開始です。お寺様にお経を上げていただいてご遺骨の取り出しをお手伝いしました。ご遺骨はお寺様で預かっていただき、墓石の解体に移ります。取り外した墓石は一旦工場へ持ち帰り、移設に向けて準備をします。コンクリートの芝台と枠石もきれいに取り外して、くぼんだ部分に土を入れてきれいにならし、こちらでの作業は完了です。

 

同じ墓地内の移設先は、墓地の出入り口からも近く、周りの通路もゆとりがあります。以前よりも少し広めの墓地で、真ん中あたりにお墓があるといいというご希望でした。そこで、お客様とお寺様とお話し、通路を広めにとって右側に寄せて巻き石を設置、お墓の据え付け工事を開始しました。

 

基礎工事をして巻き石を設置、お墓や灯篭、新しい塔婆立てを設置して、移設工事完了です。移設前とできるだけ同じような形にしたいとご希望でしたので、墓地の広さに対しては少し小さめの巻き石ですが、移設前の雰囲気を残すことができました。

 

一番下の芝台は今回新しく作ったものです。もともとの用瀬石は全く同じものは手に入らないので、色合い等が近い類似石を探して作成しましたが、自然な仕上がりになっています。墓石は簡単な洗浄を行って汚れを落としてきれいにしました。また、施工の際は耐震ボンドやL字の金具等を使用したので、移転にあわせて地震などの揺れにも強いお墓にすることができました。

 

灯篭も同じくきれいに洗浄して設置し直し、その後ろにはきちんと塔婆が立てられるよう石製の塔婆立ても新設しました。 香立ての家紋は白色を入れ、花立は落とし込み式に加工して、水抜き穴をあけてステンレスの花筒を入れています。以前よりもお参りがしやすくなっています。

 

今回は、同じ墓地内での移設という少し珍しい移転工事でした。芝台を新しく作る工程では、お墓本体に使われていたのが50年以上前の用瀬石だったため、色合わせに特に気を遣いました。同じ石が使えれば一番良いのですが、建てられて50年以上経つと、全く同じ石が手に入らなくなっていることも多いです。そうした場合は、できるだけ石目や色合いの近い石を探し出してご提案することも必要です。

お客様には、気になっておられた箇所もきれいに作り直して、お参りしやすい場所に、お参りしやすい形で移設することができ、喜んでいただけました。また、見た目には分かりませんが、巻き石の角の部分にはL字の耐震金具を取り付けて補強したり、石塔の設置には耐震ボンドを使用して接着するなど、現代の耐震施工技術を随所に使っているので、安心してお参りいただけるお墓になっています。これからも大切にお参りいただけますと嬉しく思います。今後何かお困りの際には、どうぞまたお気軽にご相談ください。